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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

ルックスだけを見て特にヤバイと思った「ジャン=ポール・エヴァン」歴代クリスマスケーキベスト10

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下の単語リストを見てほしい。これは、あるクリエイターが毎年末に発表する新作の、歴代のテーマ(一部)である。この単語だけを見て、あなたはこのクリエイターの職業は何だと思うだろうか? 現代アート作家? それとも、映画祭かなんかのキュレーター?

2006年 「出会い」
2007年 「きのう‐きょう‐あした」
2008年 「アンフリュアンス(影響)」
2009年 「テール ア テール」
2010年 「アンヴィ(願望)」
2011年 「好奇心」
2012年 「火遊び」
2013年 「ベスト オブ」
2014年 「甘美な狂気」
2015年 「足はしっかり地に着けて、頭は星々の高みに」
2016年 「フレンチタッチ」

正解は、ジャン=ポール・エヴァンというフランスのチョコレート屋さんの、クリスマスケーキのテーマでした~!

このチョコレート屋さん、私は全然詳しくないのだが、「フランス国家最優秀職人章(M.O.F)など数々の栄誉に輝く世界トップクラスのショコラティエ」が率いるブランドで、彼は「L’express style(※フランスの雑誌)によって「フランスのショコラ界の巨匠のひとり」、また「ショコラの生き神」と称されてい」るんだそう(「ショコラの生き神」ってw)。創業は1988年、日本上陸は2002年。ちなみに日本展開を行う会社は、パン屋チェーン・アンデルセンの子会社だったりする。

毎年10月頃に発表されるここのクリスマスケーキを、私が初めて知ったのは、2012年「火遊び」だった。たまたま通りかかったジャンポールエヴァン銀座三越店のショーウィンドウを前に、思わず「狂ってんのか?!」と叫んだ。以来、少しずつ溜まっていった「狂ってんのか?!」が、今年の発表を受けコップの表面張力ギリギリにまでなったので、爆発する前に発散させるべく、ネットからかき集めた歴代クリスマスケーキの画像から、「狂ってんのか?!」ベスト10を発表したい。つまり、高級チョコレート店のクリスマスケーキを、食べもしないで画像だけで勝手に決めるという、最低な暇潰しです。ここまで読まれて分かるように、選考基準は全部フィーリングということで、ご勘弁いただきたい。

※ジャンポールエヴァンが日本でのクリスマスケーキ発売を始めたのは2003年からだが、ネットで情報が辿れたのが2006年からだったので、2006年~のことを扱う

<ルックスだけを見て特にヤバイと思った「ジャン=ポール・エヴァン」歴代クリスマスケーキベスト10>

 

10位 「ビュシェット」2008年、7560円

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この年のテーマは「アンフリュアンス(影響)」だそうで、映画館で幕間に食べるアイスバーからインスピレーションを得て作ったケーキだそうだが、一般的な日本人が好むクリスマスケーキの体をなしていない。6人パーティのつもりで用意して、飛び入りで7人目が来ちゃった時はどうすればいいだろうか。

9位 「ビュッシュ アンヴィ デートル アイユール(他の場所にいたい願望)」2010年、5250円

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「冬の厳しさから逃れて、太陽が輝き椰子の木がそよぐ無人島に脱出したいと願う思いを表現した一品」だそうで、映画館でのアイスバーよりは冬向けだが、相変わらずクリスマスを祝おうという気概が感じられない。

8位 「ビュッシュ レジェール」2009年、5775円

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この年のテーマ「テール・ア・テール」は「土から土へ」という意味らしく、地に足をつけて、普遍的な基本にかえろうという想いが込められているんだとか。で、普遍的な基本に帰った結果、クリスマスケーキのテーマは「万物の四大元素=水、土、火、空気」。発想が怖い。水、土、火、空気の4つのケーキから、「空気」。空気を風船で表現するセンスはいいけど、クリスマスではない。

7位 「ビュッシュ ダンフェール ソクル」2015年、10000円

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エヴァン氏は数年に一度、原点回帰志向になるようで、2015年のテーマもまた「足はしっかり地に着けて、頭は星々の高みに」という原点回帰を標榜するものだった。が、エヴァン氏レベルのアーティストになると、頭を置く高さや、足をつける地面の座標が、一般人のそれとは違う。惑星をあしらい宇宙を表現した「インターステラー」というケーキ(「インターステラー」w)とともに発表されたのは、地獄のケーキ。彼が足をつける地面は、地獄なのだ。そして一体誰が彼と一緒に、地獄でクリスマスを祝うのか。

6位 「あした」のビュッシュ:《Desir design》「デジール・デザイン」2007年、6300円

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2007年のテーマは「きのう‐きょう‐あした」、その中から「あした」、すなわち未来を担当したケーキ。「デザインへの欲望」というタイトルに反し、銀色のチューブで近未来を表現というのは平凡な発想……だからデザインへの欲望なの? わからない。肝心なお味は「ほのかにピリッとする唐辛子のピューレがアクセントに添えられている」ものだったらしい。

5位 「きょう」のビュッシュ:《Green Buche》「グリーン・ビュッシュ」2007年、5775円

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「なんともユニークな風貌だが、このビュッシュを通して、おいしさだけでなく、エコや命の大切さを提案。小さなプラカードは、森や水や空気などの大切さを訴えている」という解説をネットで見かけた。解説に感謝。「あした」より525円安いのもよくわからない。確認するが、これはクリスマスケーキとして発表されたケーキである。

4位 「ビュッシュ フゥ」2009年、5775円

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2009年の「万物の四大元素」シリーズ。火。暖かな暖炉の火にくべられた薪を表現したとのことで、ここまでのケーキのなかでは、一番クリスマスっぽさを感じられるが……

3位 「ビュッシュ オ シュネ」2012年、5250円

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「ビュッシュ フゥ」から3年後、薪の表現が進化。2012年はテーマ自体がヤバい(後述)。

2位 「ビッシュビーハッピー」2014年、5940円

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2014年のテーマ「甘美な狂気」に恥じることなく、こちらに笑顔を強要する何とも言えないスマイルと文字(BE HAPPY!)が怖い。他のケーキもあわせ、まどマギ(犬カレー空間)に似ている、という評価を見かけた。

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1位 「ビュッシュ ディナミット」2012年、5775円

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2012年、「火遊び」をテーマにした一連のケーキを見た瞬間、私の中の「クリスマスケーキ」という概念がガラガラと崩れた。一緒に発表された「ビュッシュ ラ プティット マルシャンド ダリュメット」(マッチ売りの少女)もヤバい。「火はキッチンであらゆるルセットをかたちにするために欠かせませんが、私のクリエーションも情熱の炎に絶えずかきたてられているのです」。これが、暇を持て余した神々の遊びですよ!

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今年2016年は「フランスタッチ」、すなわちフランスっぽさの追求がテーマだそうで、ムーランルージュの踊り子が並んだ「ビュッシュ 《カンカン》」にはびっくりさせられるものの、屋根に梯子を立てて月を捕まえようとする「ビュッシュ 《レーヴ》」は、童話のような雰囲気が案外、これまでで1番クリスマス向けかも……しれない。

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セブンイレブンが今年、クリスマス商戦に際して安室奈美恵とのタイアップを決め、「対象商品をお買い上げの方にセブン限定イメージソングをプレゼント」というキャンペーンを展開するのに対し、作りたいケーキを作り、6000円前後で売るジャン=ポール・エヴァンの、なんと自由闊達なことか(ないし、このブランドを支持する層が一定層いるという事実)。なんだか、きつーいものを覗き見てしまったような気がした。私たちは、果たしてどこのクリスマスケーキを買えばいいんだろうか? そもそも、クリスマスなんて祝う必要があるんだろうか?

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今年のクリスマスケーキについて、ジャン=ポール・エヴァンは次のような声明を付している(太字による強調は筆者による)。

「……けれども、どんなに努力しても説明不可能な部分があると認めざるを得ません。それはデギュスタシオン(※味見)の魔法によって、幸せをともなって立ち現れます。喜び、というものです」(公式サイトより)