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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

雑な感想:『レッドタートル』は映画料金でリゾート旅行したい人にお勧め

こんばんは。月曜が祝日なので今週のジャンプは土曜発売だった、というのをすっかり忘れジャンプ買いそびれたショックを癒しに、スタジオジブリ最新作を観に行って参りました。

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○こんな人にお勧めです
・この夏どこにも旅行に行けなかったり夏バテだったりで、海辺のリゾートで癒されたい方
・アートアニメーションに興味がある方
・カメが好きな方

✕こんな人にはお勧めしません
宮崎駿作品(冒険活劇!!!)が好きな方
・『君の名は。』が好きな方
津波にトラウマがある方

 

※以下、がっつりネタバレしています。未見の方はご注意ください。

スタジオジブリが、『岸辺のふたり』(2000年)などで知られるオランダのアニメーション作家、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットを監督に迎えて製作した今作。劇場の予告編しか見てない状態で行き、無人島サバイバルモノを予想していたら、なんと中盤から主人公に奥さんと子どもが出来て、家族モノに変わりました。びっくり!

※日本版メインビジュアルと、同フランス版の比較

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個人的には、それまでのそこそこハラハラドキドキ(かつ絶望的)サバイバル感が好きで主人公をめっちゃ応援していたので、それが「カメが女性に変身する」出来事でリアリティラインが一気に崩れちゃったことに、ちょっとガッカリしました。心なしか中盤以降、主人公(すなわちお父さん)の表情が全然クローズアップされません。お父さんの表情が再びアップになるのは、子どもが島を出ていき、カメ(女)と2人きりになった老後のシーンです。

 

・この映画をご覧になった方が、1番モヤモヤする点は、

  ①男の脱出を邪魔して、筏を壊してくるヤツの正体は何か?
  ②カメがどうして女に変身したの?

の2点でしょう。これについては、個人的には、(既に幾つか指摘がありますが)「あ、この映画は人魚姫なんだ!」、と解釈しながら見ました。つまり、遭難している男に惚れたカメが、男を島に打ち上げて助ける。恋心から、筏を壊して男を島に閉じ込める。男に殺されかけるも、本人はすごく反省しているみたいだし、そもそも好きな人なんだから気にしない気にしない。子どもも生れ、津波もなんとか乗り越えた。最後は男の死を看取り、カメに戻って海へ帰る。

※何者かによって何度も筏を壊され、島から出られない男f:id:newladyrossa:20160919230134j:plain

カメにとっては最高の形で成就した恋愛ですが、……男にとってはどーなんだ!!!美人な奥さん、カワイイ子どもと一緒に、美しい島でユートピア暮らし。案外そんな人生も悪くはないのかもしれません。私はイヤですが……

 

・ちなみに高畑勲は、本作についてこんな発言をしています。「男が飢えるのは心だ。それがマイケルの言うlongingだ。それを私は、万葉時代の『恋』だと言いたい。本来『恋う』とは一般に『眼前にない人や物を求め慕う気持ち』を表す。描きたかったのもやはり、男の飢えや渇きだった。」(「しんぶん赤旗」9月13日)


・公式サイトに掲載されている『レッドタートル ある島の物語』プロダクションノートによると、本作の実制作が始まったのは3年前、すなわち『風立ちぬ』公開直後です。宮崎駿という巨匠(兼ドル箱)が活動を停止している状況で、ジブリの優秀な制作スタッフを眠らせておくのはもったいないので、っていうことなんでしょうか。確実にコケそうな今作ですが、せめて製作費は回収して、日本の商業アニメファン(およびクリエイター)がなかなか注目しないアートアニメーションに何かしらお金が入る流れができるといいな、と思います……。