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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

雑な感想:『美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』に見る監督の「ガチ」の戦い、あるいは勘違い

アニメ

(注)見たアニメのあまりの俗悪さ(褒めてる)に脳が溶け、崇高なモノと錯覚しはじめたアニメ好きによる、ただの駄文です!!!!!!!!

楽しい夏アニメシーズンが始まりました。
50近く新番組があるわけですが、その中でもとりわけて面白く見てるアニメについて、感想のようなもの。

美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』は、2015年1月に放送された1期(『美男高校地球防衛部LOVE!』)の好評を受け、この7月から開始された2期(1期の続き)である。

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【あらすじ】眉難(びなん)高校に通う男子高校生たちが、外宇宙から飛来した2体の謎の生き物によって「地球を守る」防衛部と「地球を征服する」征服部に分かれて繰り広げる戦いをコミカルに描く。(Wikipediaより)
※これは1期のものですが、2期も基本的に同じ感じです。

 

そのタイトルからわかる通り、特殊な性癖、つまり「2次元の美少年が大好き!」という女性向けの、かなりトホホ……な戦闘アニメである(あ、男性でもそういう嗜好の人いるかもしれませんね)

今シリーズの主眼は「いかに美少年の裸や、美少年同士のイチャイチャを、視聴者にたっぷり堪能させるか」にあって、ストーリーは本当に他愛無い。
それを端的に表すのが、主人公チーム、バトルラヴァーズの変身バンクだ。

※バンクという用語がわからない方はこちらをご覧になって下さい。


主人公「ラブメイキング!」(チュッ)

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「キラメキ王子 バトラヴァスカーレット!」f:id:newladyrossa:20160724204831j:plain

 

他のキャラたちも、こんなんである。

 

「ラブメイキング!」

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「ラブメイキング!」f:id:newladyrossa:20160724204943j:plain

「ラブメイキング!」f:id:newladyrossa:20160724204949j:plain

「ラブメイキーン!」f:id:newladyrossa:20160724204954j:plain

もう、ほとんどギャグ

 

毎回撮り下ろし(!)という声優たちのリップ音(=ぶちゅっというキスの音)付き、という出血サービスとともに、セーラームーンを明らかにトレースしたような全裸の変身を、美少年たちがやってくれるのである。毎回。
1期からのお約束とあって、2期はさらにパワーアップしたものになっていた。

 

さて、このバトルラヴァーズの変身バンクは1期で慣れたすごく興味深いのですが、私が今回度肝を抜かれたは、双子の高校生、VEPPerの変身バンクだ。

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↑ ギャラクシーアイドル「VEPPer」を名乗る、別府月彦(左)、別府日彦(右)兄弟

 

この双子は2期の新キャラで、どうやらバトルラヴァーズに敵対する勢力になるらしい。何はともあれ、このバンクシーンが凄いのだ。

 

突然、「Welcome to the VEPP Theatre...」というアナウンスが流れ……

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急に歌いだす双子。

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二人同時に、裸で変身

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「空に輝く二つ星! ソルティ・ソル! メルティ・ルナ!ギャラクシーアイドル、ザ・ベッパー!!」

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変身を見つめる学生「……は?」

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 どうですか、このナンセンスさ。

 

セーラームーンを代表とする「魔法少女モノ」にお約束である全裸の変身バンクを、男子高校生でやる

 

という基本コンセプト(?)は、バトルラヴァーズと共通する。VEPPerの変身は、「殆どそっくりの双子が、脈絡もなく突然歌いだし(!)、歌に合わせて2人が同時に裸で変身する」ということで、ナンセンスさが更に突き抜けている。

 

これに加えて、VEPPer変身バンクは、

 

・変身にあたり舞台が一転し、突然、謎の劇場空間(作中の言葉でいえば「VEPP シアター」)に飛ぶ

 

ということ、すなわち、アニメ的イリュージョンが用いられていることが、バトルラヴァーズの変身と比べて、大きな特徴だ。劇場に拉致された学生が「は?」と驚いているあたり、どうやら作中でも変身の瞬間だけ、リアリティラインを逸脱したイリュージョン空間が展開されているようである。

この演出が私には、意味の有無(ナンセンスであることの断罪)を突き抜けて、アニメにしか許されない「飛躍」、すなわち、アニメという媒体でしか表現できない「何か」に届いた描写だ、とどうしても思えてならない(こうしたイリュージョンの使い方は、『輪るピングドラム』でプリンセス・オブ・クリスタルの生存戦略に巻き込まれた冠葉と晶馬の反応を思い出す)

 

シリーズ1期『美男高校地球防衛部LOVE!』は一見、女性オタクを狙い撃ちにしたような「魔法少女」の美少年版エロパロディ/勧善懲悪ヒーロー物語/優しい人しか登場しないぬるま湯のような日常モノ……と、テンプレとしか言いようがないわかりやすい作品のようでいて、「バトルラヴァーズの姿は、第三者にはモザイク顔、モザイク声にしか見えない」だの、「一連の戦闘は、実は宇宙人のテレビ局によるヤラセだった」だの、意外とシビアな設定に、虚を突かれるものがあった。

冷静に見たら、ひどい絵(一期より)f:id:newladyrossa:20160724210659j:plain

単に2次元美少年好きのユーザーを甘やかすだけならば、そんなガチな設定は必要ない。ただ美少年が裸で変身して戦ってくれればいい。それなのに、「ツルツルとした非実在青年たちによるイチャイチャ」という予定調和が、時どき破綻し、その奥からふっと「ガチ」な何か覗くのである。それは、安っぽく解釈すれば「俗悪さに開き直れない作り手の、商業性と芸術性のせめぎあい」とも、「監督の苦心の工夫」とでも、言い換えることができようか。

VEPPerの変身シーンに、意識的か無意識的かアニメ的イリュージョンが導入されたのも、もしかするとこうした「ガチ」の一環なのかもしれない(もちろん大前提として、VEPPer役の声優さん及び変身バンク中の歌を売り出したい、というマーケティング的な欲望があるのは事実だけども)
一期に引き続きまたもや監督の「ガチ」を感じてしまい、私は「すごく面白いなぁ」と思った。

 

最終話周辺の展開がガチだった一期に比べ、どうやらVEPPer変身シーンが毎回あるという二期は、毎回エロパロvs「ガチ」の水面下の戦いを深読み(≒誤読)させてくれるということで、1期以上に毎週の放送が楽しみである。

 

双子ってお前……変身ってお前……

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