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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

自作短編「退屈な決闘」

ショートショート
シャーリーは、ライム伯爵の恋人だ。
彼女は、社交界の数多の住人と同じく、ライム伯爵の砂糖菓子のようなマスクにとろけ、三千回の告白の末に見事、恋人の座を勝ち取った。
問題は、シャーリーには夫のレモン公爵がいたことだ。
憤り立った彼は、ライム伯爵に決闘を申し込み、たった今、決着がついた。
大変不運なことに、弾丸はレモン公爵の心臓を直撃したらしい。
 
夫の遺体に泣きながらすがるシャーリーを一瞥して、ライム伯爵は葉巻をくゆらせた。
 
(惚れるが負け、惚れさせたら勝ち、惚れたら身の不運。)
 
シャーリーったら、いつまで泣くつもりなんだろう?
てっきり、キスの1つや2つでも、くれると思ったのに。つまんねぇな。
 
(だったら俺って、今まで負けなし?)
 
ポケットに手を突っ込むと、くしゃくしゃの手紙が2通見つかった。
1通は、若いマドレーヌ嬢から。確か、笑顔が可愛かった。
もう1通は、ラズベリー伯爵夫人から。とびきり高いシャンパンを、たくさん飲ませてくれる人だ。
 
(でもそんな人生、絶対負けだよね。)