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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

自作短編「お菓子をやるからいたずらさせて」

ショートショート
家庭科の調理実習中、僕の班はどうやら砂糖の分量を間違えたらしい。
ジャリジャリするクッキーを義務のように飲み下しながら、隣にいた鈴木さんが、「塩っ気がほしいね」と笑いかけてきた。
家庭科の時間が終わるやいなや、購買に飛んでジャガリコを買い、教室で何食わぬ顔で取り出した。
鈴木さんは、「ジャガビーって知ってる?私、アレ食べて以来、ジャガリコ苦手なの。固くて喉に刺さるみたいで」と笑った。
 
冬の昼休みの教室は、ストーブの上で沸かされていたヤカンのお湯を巡り、激しい戦争が勃発する。
僕が久々の勝利に酔いながらカップヌードルを啜っていたら、鈴木さんが「おいしそう。私もたまにはポタージュとか飲みたいな」と笑いかけてきた。
次の日、通学途中に買ったインスタントのコーンポタージュを震える手で差し出すと、「私、粒が入ってるタイプのコーンポタージュは苦手なの」と笑った。
 
そんなことが7回くらい続いたから、僕はいい加減、鈴木さんに腹が立った。
なんだよあの女。気取り屋で、ワガママで、いっつもヘラヘラしやがって。
なにが、「田中くん、なんのケーキが1番好きー?」「へぇ、アップルパイ?私、シナモンが苦手だから、アップルパイって、1度も食べたことがないの」だ。
 
 
「あ、あの、ここのアップルパイって、シ、シシシナモンは入ってますか?」