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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

自作短編「水やり」

「あがるよ~」
 
「またあんたか。いい加減ノックくらいしてくれよ。」
 
「いーじゃん、お前の家に来るヤツなんか、幼なじみの俺以外誰もいないだろ?」
 
「うるさいな。毎日毎日用もないのに、こっちだって暇じゃないんだから。」
 
「そうやって心が狭いから友達いないんだよ。というか今、何か隠したっしょ!」
 
「隠してないって!」
 
「さてはエロ本だな?おい、顔が真っ赤だぞ、どれどれ……」
 
「うわ、やめろ、人のものを勝手に」
 
「あーあー、また小説書いてたのか!ハタチ過ぎてまともな会社勤めしてない野郎が、恥ずかしいねぇ。エロ本隠してくれてた方がよっぽど役に立ったよ。毎日毎日飽きもしないで、これどうすんの?」
 
「……ブログにアップしてんの!意外とアクセスされてんだから。」
 
「どうせ自演だろ?」
 
「そんなわけないだろ!ほら、読者からのコメントだって、結構あるんだから。」
 
「どれどれ。『今日の作品は、精神的な支柱を獲得しえないまま機能的共同体に放り込まれ自己が瓦解していく苦しみという、現代人ならば誰しもが直面している困難を描きつつ、あらゆる二項対立が破壊されつくすナンセンスな結末に、ポストモダンの時代ならではの新しくも普遍的で、力強い救いを感じました。〇〇先生の作品、これからも楽しみにしています』……?ばっかじゃないの?こんなん、『〇〇は友達がいないそうですが私も友達がいなくて寂しいです』ってことだろ?こいつ、女だったら絶対ブスだな。」
 
「あんたみたいな脳みそがパチンコとキャバクラでしかできてないヤツに、俺の小説なんて1ミリも理解されなくて結構ですよ。」
 
「拗ねるなって。だいたいさ、お前の小説にはリアリティがないんだよ。もっと遊んだ方がいいよ。ちゃんと働いて、自分の給料でパチ打って風俗行く俺の方が、よっぽど面白いもん書けるね。こないだ、やたら噛んでくるすげーねーちゃんに会ったんだけどさ、話聞きたくない?」
 
「別にいいよ!ほんと、何しに来たんだよ。」