忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

自作短編「民意」

とあるホテルのラウンジで、M議員と後輩のN議員が、少し遅めの昼食をとっていた。

「先生、何やら今日は外が騒がしいですな。」

「ああ、デモです。このあたりは官庁街が近いから、効果的だと思っとるんでしょう。一種の風物詩ですな。」

「先生のようなお方にはやはり、ああした国民の率直な声は、お聞き捨てならないでしょう。」

「いやいや、私に言わせるとデモなんてやる連中は、世の中の道理をまるでわかっていない 、大バカです。叫べば要求が通ると思っとる。 何事も”持ちつ持たれつ”ですよ。政治の世界も、同じです。」

「ははは。勉強になります。」

感心しきりのN議員を前に、M議員のおしゃべりも興が乗ってきた。

「ああいう連中に限って、全体のことを考えずに増税反対などトンチンカンなことを言い出す。根拠のない占いです。ま、反対のことをすればうまくいきますな。」

「まったく同感です。」

そこへ、外に様子を伺っていた秘書が帰ってきた。

「それで、占いは何と言っているかね?」

「はぁ、それが、次の総理大臣はぜひあなたをと。」