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忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

自作短編「バレンタイン強盗」

「チョコを出せ!さもないと撃つぞ。」
 
ホームルームの時間に突然入ってきた覆面は、袋を片手に女子生徒の机を回り、次々にチョコレートを強奪した。
 
「お前、もう少し丁寧にラッピングしろよな。」
「高校生のくせに、ゴディバなんて生意気だぞ。」
 
おまけに寸評つき。
ある女子はうつむき、ある女子は真っ赤な目で覆面を睨みながら、なすすべもなく鞄を漁られた。
 
「と、取らないでよ!それあっくんのために……」
 
バンバン!
天井に穴が開いた。
本物の拳銃だ!
教室にいた男子生徒の半分は、ションベンをちびった。
あっくんの彼女も、呆然として、泣くのを忘れたみたいだった。
 
やがて、学年で一番の優等生、ゆりこちゃんの番が来た。
 
「高校最後のバレンタインに、好きでもないやつにチョコレートを奪われるなんて、か、かわいそうな女だ。」
 
そう言って覆面は、震える手で、彼女の鞄を漁り始めた。
3年間ずっともらえなかった、ゆりこちゃんのチョコレート。
 
しかし、いくら探しても、ゆりこちゃんの鞄からチョコレートは見つからない。
焦っているうちに、どこからかサイレンの音が近づいて、僕は銃刀法違反で逮捕された。