忘れるためのなぐりがき

短編小説や、映画・アニメの感想を書いています。

2016年春期アニメの感想

※とんかつDJアゲ太郎、ジョーカー・ゲーム、甲鉄城のカバネリ、坂本ですが?、逆転裁判を、2016年4月~6月見た感想です。特にネタバレはないつもりですが、ご注意下さい。 ・とんかつDJアゲ太郎 個人的に、今期のぴかいち☆ダークホース 10分アニメなのでとて…

雑な感想:『エクス・マキナ』感想書き散らし

ネタバレしてます。ご注意ください。 『エクス・マキナ』、色々やばかった。人工知能をめぐる「気持ち悪さ」を見事に体現しているシナリオや、アカデミー賞受賞も納得の視覚コンセプト(アリシアちゃんの顔を搭載したAIの造形/ノルウェーの大自然/静謐で高級…

2次創作「映画泥棒が映画泥棒になった理由」

映画泥棒は、しがないフリーターであった。 アルバイト先の人間と2,3言会話をかわす以外は、趣味である映画鑑賞に没頭する生活を送っていた。 ある日、ふとした出来心から、新作映画の舞台挨拶を盗撮した動画をニコニコ動画にアップした。 動画は一晩でラ…

自作短編「正義のディナーテロリズム」

トシズ・スシは、寿司を中心とした世界でも最大級のファミリー・レストラン・チェーンだ。中でも渋谷店は、広々とした店内と渋谷ならではの限定メニューがウリで、外国人観光客を中心に最も賑う店舗の1つだった。その日も、お昼時を過ぎた時刻とはいえ、新…

自作短編「スパイス家の後継ぎ」

久しぶりに実家の門をくぐると、玄関の上のバルコニーから、姉さんの声がした。 「あらクローブ、遅いじゃない。」「シナモン姉さん、久しぶり。またタバコ?医者に辞めろって言われてなかったっけ?」「凄いピリピリしてるんだもの、やってられないわぁ。皆…

自作短編「タイム・インベスター」

我々の一族は、500年前から代々、この職業に従事してきた。それは、才能のある人物に時間を貸し出し、彼らの創造物によって人類が節約可能になった時間を回収するという仕事だ。いわば、"時間の投資業"である。才能のある人間にとり、最も必要なものは金では…

自作短編「最後の支配人」

明日から、仕事がなくなる。 といっても、嘆くことではない。 全世界が協力して開発したアンドロイド労働体制が完成し、人類が初めて、労働から解放されることになった。 農業や漁業は言うまでもなく、公共工事や発電所の運転、レストランやショッピングモー…

今週のアニメ

おそ松さん、銀魂、ポケモン、僕だけがいない街、ルパン三世、石膏ボーイズ、昭和元禄落語心中の今週の感想です。※一部ネタバレしてます。 おそ松さん 第22話「希望の星、トド松/ファイナルシェー」 トッティに「こんなクズな兄貴がいてごめん」と謝ったり…

自作短編「喫茶店うしくまの日本株ポートフォリオ」

突き返された企画書を前に、私はしばらくボンヤリしていた。表紙に記されたタイトルは「喫茶店うしくまの日本株ポートフォリオ」、キャッチコピーは「本当の戦争は、経済だ」。再来年に、我が社が初めて元請制作をするオリジナルテレビアニメの、企画書であ…

自作短編「マロンの里親」

茶色と白の猫の写真が、目に留まった。「検討中」のアイコンを押す。 候補に残った猫は5匹だ。いずれも飼い主は東京都内で、緊急に里親を探していて、面倒な手続きや調査はなし。もちろん、譲渡代は無料。 突然「猫でも飼ってみようかな」という気分になっ…

自作短編「トランプ」

「失礼、手品はいかが?」「いいわ、ちょうど退屈してたの。」「この中から1枚引いて、僕に見せないように覚えて。…今から、あなたが引いたカードを当てます。」「当たったら、一杯おごるね。」「よーし、それは頑張んないとな! あなたが、引いたカードは…

自作短編「ピンクのかいじゅう」

塾の近くの秘密基地は、5年Bクラスに所属する小学生たちのうち、特定の生徒のものだった。 Bクラスは、特進クラスとCクラスに挟まれたクラスで、テストで何点取ろうとも、先生たちからは「あと30点取れ!上に行けるぞ!」と「このままだとCに落ちるぞ!」と…

自作短編「美容室の会話が苦手」

「佐藤さんて仰るんでしたっけ。いきなり何ですけど、初対面の人と話するのって、大変じゃないですか?」 「佐藤で合ってます。……え、そうですか?」 「だいたい、会話の引き出しって、そう多くないじゃないですか。 共通の友達とかいればね、そいつのこと話…

自作短編「風邪と社会人」

「社会人は、体調管理も仕事のうち」っていうのは、その通りだと思う。 でも、先週仕事であんまりウンザリすることが多かったから、悪寒がするのを無視して会社から家まで歩いて帰り(1時間半かかった)、風邪をひいてやった。 いつもなら電車で揺られている…

今週のアニメ

おそ松さん、ポケモン、僕だけがいない街、ルパン三世、石膏ボーイズ、昭和元禄落語心中の今週の感想です。 ※一部ネタバレしてます。 おそ松さん 第21話「麻雀/神松」 毎回「見た後、思わずツイートしたくなる」ようなネタ性に溢れてるのが、本当にすごいと…

自作短編「フラペチーノ・ガール」

「はい、少々お待ちください。……杉原さん、大正エンターテイメントさんから今度の取材についてお電話です。」「大正エンターテイメント?それ、たぶん霧島さん宛だよね?霧島さん、今ちょっと外出ちゃってるんだよね。部長も外回りで今日はもう帰ってこない…

自作短編「退屈な決闘」

シャーリーは、ライム伯爵の恋人だ。 彼女は、社交界の数多の住人と同じく、ライム伯爵の砂糖菓子のようなマスクにとろけ、三千回の告白の末に見事、恋人の座を勝ち取った。 問題は、シャーリーには夫のレモン公爵がいたことだ。 憤り立った彼は、ライム伯爵…

自作短編「猪口令糖耳順(チョコレートじじぃ)」

Iは俺の大学の同期で、数奇な運命の巡り合わせから、長らく俺の担当編集をやっていた。 それが今度の春、定年退職を迎えるとのことで、ああ、オッソロシイ。人生アットイウマだなァ、なんて、珍しくおセンチな気分に浸ったわけよ。その時だよ。 「それで、花…

翻案小説「バースデイ・ケーキ」

村上春樹編・訳による短編小説アンソロジー『バースデイ・ストーリーズ』に収録されている、ダニエル・リオンズ「バースデイ・ケーキ」(The Birthday Cake)を元ネタに……というより、設定をほぼパクって、書きました。 すごい好きな小説なんですが、原作が…

雑な感想:『ライチ☆光クラブ』を見てきた

密室惨劇にしては、密室成分が足りない。 ※ややネタバレしています。ご注意下さい。 池袋HUMAXシネマズ、サービスデー料金1100円で、見てきました。思ったよりお客さんは入っていて、女性率高め。 そもそもは、東京グランギニョルの演劇『ライチ光クラブ』(1…

自作短編「デイドリーム・ビリーバー」

小太郎には、夢があった。 それは、ハリウッドスターになって、レッドカーペットを歩き、オスカーを勝ち取ることだ。 小太郎の家は、WOWOWに契約していた。 お母さんが掃除をしながら付けていたアカデミー賞の授賞式の中継を、小さかった頃の小太郎は偶然に…

自作短編「銀幕のリンゴは甘い」

「最初は反発しあっていた2人が、いつしか心を通わせ、ある日男がポケットに入れていたリンゴを仲良く2人で分け合って食べる」というシーンが大変印象的な恋愛映画を、あるカップルが見た。 2人はまだ、付き合っていなかった。 駅に向かう途中に立ち寄った…

自作短編「お菓子をやるからいたずらさせて」

家庭科の調理実習中、僕の班はどうやら砂糖の分量を間違えたらしい。 ジャリジャリするクッキーを義務のように飲み下しながら、隣にいた鈴木さんが、「塩っ気がほしいね」と笑いかけてきた。 家庭科の時間が終わるやいなや、購買に飛んでジャガリコを買い、…

自作短編「ドーナッツ囚人」

正社員があらかた帰宅した本社ビルの受付スタッフ控室、今日のシフトを終えて帰宅しようとした先輩は、居残り担当の後輩に声をかけられた。 「……ちあき先輩、課長からの差し入れのドーナッツ余っちゃってるんで、良かったら食べちゃって下さい!お皿に移して…

自作短編「芸術試論」

芸術家が、時に反体制の危険を冒してまで「個人」を表現するために芸術をやるようになったのは、実はここ数百年の出来事であり、それまでは寺院王侯貴族のため、すなわち体制のために、芸術は作られたのであった。 そしてまた、今日の芸術家が所与の絶対条件…

雑な感想:BLアニメ映画『同級生』を見てきた

ネタバレ無し、雑文御免、の映画感想シリーズ第一弾。 作画と演出、すげーーーーーーー!!!!!!!!! ※ちなみに私は、BLはどっちかというと否定的、でも原作マンガは読みました、という感じです。 TOHOシネマズ日本橋、特別料金1500円で鑑賞しました。 …

自作短編「ピッツァが君を作るんだ」

ディアボラは、フランチャイズチェーン「ナポリ・ピッツァ」で働くスタッフだ。 彼の担当はインストアで、注文を受けたピザを焼いて宅配スタッフに渡すことが、主な仕事だった。 一日の終わりに、店長が集計した売上を本部へ報告することも、彼の日課の1つ…

自作短編「老いのはる」

この頃、実家の母親から、頻繁にメールが来るようになった。 スマホを持っているものの、覚えるのが苦手で放置していた母は、いつもパソコンからメールを送ってきた。 最初は、定年退職したお父さんの愚痴や、今朝の天気予報はどうだとか、地元の動物園にク…

自作短編「自己実現」

その鶏は、ヒヨコの頃からチビで、鬼ごっこやサッカーを友達のようには上手くできなかった。いつしか、「友達がみんなで自分を妨害しているんだ、運動神経が鈍い自分を恥さらしにして楽しんでいるんだ」と思い込むようになった。 シュートに失敗するたび、「…

自作短編「マナー」

世界遺産にも登録されている王宮が来年に改修工事を終えることにあわせ、ベンジャミン王国は観光政策に力を入れており、日本に対しても、伝統芸能をアレンジした名物ショー「ジャミンジャミン」を無料公演することに決めた。 「ジャミンジャミン」はダンスや…

自作短編「水やり」

「あがるよ~」 「またあんたか。いい加減ノックくらいしてくれよ。」 「いーじゃん、お前の家に来るヤツなんか、幼なじみの俺以外誰もいないだろ?」 「うるさいな。毎日毎日用もないのに、こっちだって暇じゃないんだから。」 「そうやって心が狭いから友…

自作短編「シンデレラと残念な王子」

シンデレラは悲しい玩具だった。 彼女は、とある長寿アダルトゲームシリーズに登場するヒロインの1人だ。カボチャの馬車も、素敵な舞踏会も、ユーザーにとってはエロCGを回収するための作業に過ぎない。 ゲームの佳境、ガラスの靴の山から彼女にぴったりの…

自作短編「ここだけの銀座ルール」

T氏を乗せたタクシーは、K氏の指示で、銀座の一角に止まった。 「このあたりで1番のお店ですよ」と満面の笑みを浮かべるK氏に続いて入った地下の店は、狭い入口からは想像もつかない高さの天井と広さを誇る高級クラブ。 (役人も、こんなところで遊ぶもんな…

自作短編「ヴェルサイユの小原さん」

小原さんは、小さな映画館で働いている。ひっつめた黒髪がトレードマークの、キツネのような女の人だ。誰も年齢を知らなかったが、職場で一番長く勤めていることは確かだった。 小原さんは、お昼になると、職場に置いている小鍋に家から持ってきたハンバーグ…

自作短編「それぞれの映画鑑賞」

A社は前橋にある食品会社だ。今年で創立80年。創業以来、変わらない味をご家庭へお届けします。 「だろうな……」と、アナリストHは毒づく。 よく言えば現状維持、悪く言えば何も革新を行っていない会社。ここ数年の株価は横ばい、取引相手との持ち合いも多い…

自作短編「蟻さんとキリギリスさん」

蟻とキリギリスは、昆虫大学経済学部に所属する仲良しです。 4つ年上の兄を持ち、就活の苦労をさんざん聞かされてきた蟻は、入学と同時にクリケット社のOBが多いラグビー部へ入りました。 ラグビー部は週5で朝練をやるような部活でしたが、蟻は決して練習…

自作短編「お猿のタルタル」

タルタルは、生まれて間もなくお母さん猿と離れ離れになり、田舎道のはじっこでぶるぶる震えていたところを、デミグラスサーカス団のウスターに拾われた。 ウスターはサーカスの飼育係だ。楽屋に果物の差し入れがあると自分より先に動物にあげてしまうような…

2次創作「続・小野くんの恋」

強さの違い。 http://ladyrossa.hatenablog.com/entry/2016/02/11/004451の続きです!なかじまさん、本当にすみません…… ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 付き合ってほしいという小野の告白を、彼女はあっさり断った。 「どうして…?正直、君も同じ気持ちだと思っていたのに」 …

自作短編「しっかりしなくちゃ」

名字の都合で長らく隣が空席だったWは、クラスで1番初めに転校生Mの隣人になり、それ以来何かとMと話すようになった。 Mは取り立てて特技も趣味もないが、目についた出来事にポンポンとコメントをする、おしゃべりな男だった。父親の都合でこちらに来て、母…

自作短編「名誉の絵画」

昔、とあるヨーロッパの町に、大層腕のいい画家がいた。教会や貴族からの注文がひっきりなしに入った。 顧客が欲しがるのはたいてい同じような絵だったから、町の一角に大きな工房を作り、何十人もの弟子を雇い、下絵を用意して、どんな注文にもすぐに対応で…

2次創作「小野くんの恋」

「惑星Pitääのねこうさぎ」に登場する、建築士の小野くんというキャラクターが元ネタです! (参考URL)2016/1/23 ねこうさぎ4コマ(第812話)『はじまり』 http://nakahomi.blog61.fc2.com/blog-entry-1157.html 「仕事バリバリのカッコいい大人って、どう恋…

自作短編「すみれ」

最初から、俺は姪の菫が苦手だった。 菫の父親、つまり俺の2番目の兄貴は、少しばかり名の知れた芸能人でたびたび女をとっかえひっかえしたが、その誰もに菫はベタベタ懐いた。 兄貴が首都高で追突事故を起こして即死してからは、兄の実家、すなわち、脛齧…

自作短編「スーパーヒーローひろしくん!」

アニメ「スーパーヒーローひろしくん!」は、20年間続いている長寿番組だ。 しかし最近は、続々と登場する競合アニメや、アメコミ映画の人気に押され、視聴率が低迷していた。 「みんな、大変だ!4月の番組改編にあわせて、とうとう僕たちの番組の打ち切り…

自作短編「腐敗」

あるホテルに、見るからに身なりの貧しい客がやってきた。 その男からは、腐った魚のようなひどい悪臭がしたが、どうやら一泊する金は持っている。 困り果てたフロントマンは、スタッフルームに飛んで行った。 「どうしましょう……マネージャーの判断に、お任…

自作短編「バトン」

学生時代に働いていたマクドナルドのF先輩は40代で、いかにもスコッチが似合いそうな見た目と裏腹に、いつも何かしらのお茶請けを休憩室に置いて行った。 気になるラインナップは、キットカットやプリングルスといったコンビニのお菓子が中心だが、時にはテ…

自作短編「亡霊ファンド」

ウォール街の一角に、ファンドマネージャーの亡霊たちが住むオフィスビルがあった。 亡霊たちはみな、ウォール街で失敗をした怨恨から天国に行きそびれたため、生きている人間に妬みを抱いていた。 ある電球が何度取り替えても点滅するだとか、コピーに人の…

自作短編「エージェント・ローソン」

ローソンは、埼玉県で1番のコンビニ店員だ。 小さい頃から勉強がとても苦手なうえ、お人よしで間が抜けたところが多かったから、難しい仕事には就かず、中学校卒業と同時に近所のコンビニで働き始めた。 初めのうちは仕事を覚えるのに苦労したけど、今では…

自作短編「手作り猫ごはん」

Sさんは、ついさっき軽井沢から抜け出してきたような清楚な顔だちをしていて、女の私でも時折ドキっとするくらい、肌が白かった。それでいて、好きな異性のタイプを聞かれると「……舘ひろし?」と返すような、浮世離れしたところがあった。働き始めて3年経っ…

自作短編「その少女はエピソード7をまだ知らない」

休み時間が嫌いだった。何もすることがなかった。雑談で時間を潰す相手など、当然いなかった。 クラスメイトの中には、文庫本にかじりついたり、イヤホンで耳をふさいで机に突っ伏したりする人もチラホラいたけれど、彼らの仲間になることを認めたくなくて、…

自作短編「今日も上司がウマそうで辛い」

太陽に起きた異常現象で、太陽圏そのものに住めなくなってから、40年が経った。 生まれ育った地球の記憶は、ほとんどない。物心がついた時から、宇宙難民として、様々な惑星を移り住んだ。 あれだけ高度な文明を築いた人類も、1つの生命体としてみれば、体…